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2010年6月13日 (日)

星を拾う

はやぶさが持ち帰るカプセルは流れ星になって地球に突入してきます。
その後ろからはやぶさ自体も突入して擬似小惑星としてデータを提供してくれることになっています。

はやぶさは5km/sで地球に向かっていますが、引力で加速されていきます。
地球と並行している相対速度0km/sの物体でも大気圏突入時には5km/s程度にまで加速されてしまうのでカプセルも12km/sに加速されます。
この速度では流星のように発光することになります。(SonotaCoNetworkのデータでは5~70km/s)
カプセルは40cmほどの大きさだそうですが、40cmの隕石となると満月のように明るくなりそうなものですがはやぶさはマイナス5等程度の明るさ(金星程度)と見られています。
これはカプセルが緩衝用の合成樹脂で温度的(内部温度はほんの50℃))に守られているからだそうです。

カプセルは地上10kmほどでパラシュートを開き電波を発しながら砂漠に下りてきます。
この電波を頼りにカプセルを回収しますが、7年の過酷なたびのどこかで電池に異常が出ているとパラシュートなし、電波なしにもなりかねません。
このため4台のカメラでカプセルの突入を記録するようになっており、突入軌道を計算することになっています。
ただし、カメラで記録できるのはカプセルが発光する高さ(消滅点)までですから高度30km程度までです。
UFOCaptureシリーズは動画で精度良くこの軌道を示してくれるはずです。
消滅点から先は比較的低速になり、風や空気粘度等の地上条件に基づき直ちに落下推定計算を行い絞込みを行います。
可能な限り絞り込まないと直径30kmの砂漠の中の中華鍋を探す羽目になるからです。

再突入後数時間で位置推定が終わり、回収班はGPSでそのポイントに向かうでしょうが絞り込んでも数百メートルの誤差は当然、運が悪いと数kmの誤差もありえるでしょう。
カプセルは灼熱状態で落下しているでしょうから、その状態で役に立つのが赤外線探索です。
さらに、過去に突入カプセルの回収を指揮したNASAの人までスタンバイしている準備のよさ。
その実績でもパラシュートが開かず激突してもカプセルは壊れなかったそうです。

最悪の状態はカプセルが分離できずにはやぶさごと大気圏に突入することかもしれませんが、この場合でもカプセルは残ると考えられています。
当然、UFOCaptureシリーズでの軌跡調査対象となるでしょう。
実はUFOCaptureシリーズ開発から今日まで明らかな隕石級の火球には恵まれておらず隕石回収の実績には繋がっていません。
今回のカプセルが初めてのケースになると同時にUFOCaptureシリーズの算出消滅点と落下点を繋ぐ大気落下計算の貴重な情報となると思われます。
逆にパラシュートが開けば消滅点からの固体落下計算は全く役に立ちません。

「こんなこともあろうかと」体制は回収の瞬間にまでも及んでいるのです。
最悪を予測することは「縁起でもない」と言われがちですが、そのために準備することは無駄になることの方がありがたいのです。
---------

はやぶさはカプセルの分離に成功し、パラシュートの展開、ビーコン発信も無事行われました。
22時52分頃ライブ中継の魚眼レンズでも雲がはっきり見えるほど明るい火球が突入してきました。
おかえりなさい、7年の長旅お疲れ様でした。

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