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2010年5月29日 (土)

東大寺法華堂

東大寺法華堂は三月堂とも羂索堂ともいい、東大寺成立前からの古い国宝のお堂です。
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入口の前にある石灯篭も重要文化財です。
石工は宋から渡ってきた伊行末で鎌倉中期の作です。

屋根瓦がちょっと変なのは時代が違う二つの建物をつないでいるからです。
入口側は鎌倉時代に山口県ではおなじみの重源上人が建て増した礼堂で仏像が納まる正堂は良弁が金鐘寺として建立した天平時代のものです。
Dsc08953
広くもない正堂の壇上に奉られている仏像は主に十六体でうち十二体が国宝というのは衝撃で意図しない立体曼荼羅を見る気分です。

  • 不空羂索観音立像(本尊、脱活乾漆造、天平)
  • 梵天立像(脇侍、脱活乾漆造、天平)
  • 帝釈天立像(脇侍、脱活乾漆造、天平)
  • 吽形金剛力士立像(脱活乾漆造、天平)
  • 阿形金剛力士立像(脱活乾漆造、天平)
  • 持国天立像(四天王、脱活乾漆造、天平)
  • 増長天立像(四天王、脱活乾漆造、天平)
  • 広目天立像(四天王、脱活乾漆造、天平)
  • 多聞天立像(四天王、脱活乾漆造、天平)
  • 執金剛神立像(秘仏、塑像、天平)
  • 日光菩薩立像(塑像、天平)
  • 月光菩薩立像(塑像、天平)

重要文化財は次の四体だけです。

  • 吉祥天立像(塑像、天平)
  • 弁財天立像(塑像、天平)
  • 地蔵菩薩立像(木造、鎌倉)
  • 不動明王立像(木造、鎌倉)

脱活乾漆造とは木組みに粘土で概形を作った上に麻布を1センチ程度の厚さになるまで貼り重ね、細部は漆粘土で造形したものです。
出来上がると中の粘土を抜き木組みで支えなおします。
塑像は木組みに粘土を付けて造形したものです。

まず、美術の教科書のままの居並ぶのに唖然とします。
距離も意外なほど近いのですが、以前は須弥壇外周にも入れたのです。

不空羂索観音の宝冠は銀製で宝石や真珠をちりばめたものでこれだけで億の単位の値打ちがある美術品だそうです。
ただし堂内は暗いので全く光りません。
仏の光を表す光背の位置がなんだか不自然なのは堂の高さを考えずに光背を作ったため下にずらす羽目になったと考えられています。

梵天・帝釈天は一応脇侍となっていますがこれも疑問があります。
まず単純に本尊は天蓋の真下にあるのに脇侍のはずの梵天・帝釈天は天蓋の下にいないのです。
さらに本尊よりも大きいというアンバランス。
おまけに梵天が鎧をまとい、帝釈天が寛衣(かんえ)を着ています。
(おそらくいずれかの時代に名を取り違えて伝承したもの。)

四天王マニアの鑑賞ポイントは四天王の姿はもちろんですがその足元にもあります。
そこにいるのが邪鬼です。
邪鬼は悟りを妨げる存在で元々は仏教を奉じない野蛮人を表していたようです。
彼らは四天王に踏みつけられ苦悩の表情を浮かべています。
増長天の下半身が妙に入ってバランスがちょっとおかしいのは脱活乾漆造なので中の木組みがずれているのではともいわれています。
槍を持っているですが腰痛で杖をついているように見えます。
その下の邪鬼を見ると二匹が重さを分けているのが見えます。
ものが邪鬼なのでジャッキのような縁の下の存在・・・。

執金剛神は良弁忌である12月16日に特別開帳される秘仏で彩色が残っています。
これも腰から下がちょっとバランスが悪いようですがこれは塑像ですから後世の変形ではありません。
執金剛神は帝釈天の戦闘形態でさらに分裂して金剛力士として敵を威圧します。
法華堂にはその三形態が揃っていることになります。

日光・月光菩薩は実は謎だらけです。
何しろ月光菩薩は日本オリジナルなのです。
このため日光・月光菩薩を定義上から見分ける方法はありません。
実は梵天・帝釈天だという説もあります。
「こっちの方が月光っぽい」と月光菩薩にしたようなのです。

法華堂の主は不空羂索観音なのは間違いないでしょうが他の仏像のどれが元々いたものか分からないのです。
乾漆造9体が同時という説が一般的ですが、日光・月光+戒壇院の四天王という説まであります。
境内各所から法華堂に避難してきた経緯から非常に混雑したお堂なのでやむをえないともいえます。

平成22年の5月17日で法華堂は須弥壇補修のため閉じてしまいました。
8月1日になって礼堂から日光・月光菩薩、弁財天、帝釈天、梵天、地蔵菩薩、不動明王だけ見ることができるようにはなりますが、他の仏像は修理に出ることになります。
さらにその後平成23年10月以降は、日光・月光菩薩、弁財天、吉祥天の塑像四躰は、現在建築中の東大寺総合文化センターに移ります。
不空羂索観音が帰ってくるのは平成24年12月のことでこのときに堂にどの像が戻ってきるかは分かりません。
ひょっとすると日光・月光は戻ってこないかもしれません。

(平成22年4月30日拝観)

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