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2008年11月11日 (火)

月の桂の庭

月桂冠や月の桂という日本酒がありますが中国の伝説には桂の木が月に生えているというものがあります。京都の桂離宮も観月の名所です。月と桂の関係は江戸時代には教養の一部だったのでしょう。右田毛利氏の家老桂家四代当主運平忠晴殿が山口県防府市の自宅の建て替えに自分の名前と月を掛けたインテリジェンスを働かせるのは当然の成り行きといえます。
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その庭の名は「月の桂の庭」といい2001年までは一般公開されていました。竜安寺石庭にヒントを得た石庭ですが恐ろしく念が入って凝った造りです。約300年前の職人の腕に驚かされます。現在の職人であれば「正確」に作るのが腕でしょうが当時の職人はわざと傾けたり非対称に作って見る人間に心地よさをもたらしています。竜安寺にも見られる遠近法はここでも見ることができます。配慮は屋敷にまで及んでおり部材の面取りや削り込みで縁側から気持ちよく庭が見えるようになっています。素材も地元の石の他、美祢や大歩危小歩危、桂浜の石を使う凝りよう。その庭を心地よいままで維持し続ける困難さゆえの公開中止だったのでしょう。
それが2008年11月8・9日に7年ぶりに特別公開されたのですからファンが色めき立ったのはいうまでもありません。
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現代彫刻のように石を重ねるのは古い石庭では珍しいです。
旧暦の11月23日の深夜にこの曲がった石(兎石)に月がかかるのを待ち家伝の儀式が執り行われ、その年を反省し来る年に思いをめぐらすとのことです。
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この欄間も主題は月だそうです。
庭の石も蚌含明月兎子懐胎という月にちなむ組み方がなされる凝りよう。
庭の総意は不老不死と言われますが当主は一見したときの印象を大事にしてくださいとのこと。
これが民家だというのはしびれます。

ちなみに月桂伝説が日本に入ったのは万葉集以前のことらしく数首が収められています。ところが中国の桂とはキンモクセイのことです。中秋の名月の時期に風が香るのはキンモクセイですから納得しますが日本に入ったのは江戸時代に入ってからのことです。しかもキンモクセイには雌雄があるのに雄木しか入らなかったのです。日本人は想像力で今の桂の木に月の伝説を託したのです。

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